Blackmagic Designの「ATEMシリーズ」に「SDI版」が発売されました。完全なプロ仕様のスイッチャーですね。SDIケーブル(いわゆるBNC、同軸ケーブル)というのは、放送業界で古くから使われている、映像信号を送るためのケーブルです。今回は、そんなSDIケーブルを採用した「ATEM SDIシリーズ」について。

コンパクトで使いやすいオールインワン

「ATEMシリーズ」に「SDI版」が発売されたとうのは、映像業界でたくさん使われている証です。HDMIに変換する事なく、距離の長いSDIケーブルを使う事ができて、大変便利だからです。それとHDMIという規格自体も、放送業界・映像業界では拒絶されていたように思います。映像が安定しないとか、そもそもケーブルが抜けやすいとか(確かにHDMIは相性があったり、本当に訳のわからない不具合があったりが多い規格です)。

それと、Blackmagic Designからはハイエイドのプロユース向けの機器がありますが、そういったハイクラスの機器が必要ない現場が多い事も挙げられると思います。コロナになってイベントが全てオンライン配信に置き換わり、そして今はハイブリッド型のイベントになり、多くの現場ではExtremeがあれば事足りてしまいます(イベントの規模や内容によりますが)。

そんな訳で映像業界では「ATEM Miniシリーズ」が重宝され、ニーズの多かったSDI版を発売するに至ったという事だと思います。

そう考えるとコロナは大きな一大転機でした。コロナになってイベントが全てオンラインに移行した時に、オンライン配信するためにHDMIを活用し、映像信号を変換するためにビデオボードを購入し、ATEM Miniシリーズを購入する、映像業界ではこんな流れてなっていたように思います。何しろプロユースにとってもATEM Miniシリーズは、とても便利でした。

デジタルについて思う事

「ATEM Miniシリーズ」が流行ったのは、紛れもなくコロナになってオンラインイベントが増えたためです。オンライン配信の数が一気に増えて、そのニーズに応えるために映像業界の人達がこぞって購入しました。

オンライン配信は完全なデジタルです。「ATEM SDI」はアナログとデジタルの変換を行う機器です。SDIを好んで使っている映像業界は、そういう意味ではまだまだアナログです。Blackmagic Designにとっては、大きな突破口が見えたのではないでしょうか。

「ATEM Mini」を軸に、カメラも編集も一気通貫で使ってもらいたいはずです。そのためにもSDIに対応して、プロユースに近づこうとしてますね。

確かに「ライブ配信」はまだまだ創世記。カメラと編集を直結する事で、もっとライブを面白くできるかもしれません。大いに可能性があると思います。

Final Cut ProやPremiereは、いち早くデジタル化を編集に持ち込みましたが、ソフト単体でした。Blackmagic Designは、カメラからライブ機器、そして編集ソフトまで手掛けています。これまでの「放送」中心の映像ではなく、「配信」中心の映像へとシフトしていく中で、Blackmagic Designが先導役になるやもですね。

ちょっと話は変わりますが、10年前、ワンセグなんてのが出てきて、スマホでテレビを見るのも当たり前の時代が来るんだろうなあと思っていましたが。テクノロジーは揃っていますが、ソフト面が全く追いついていない感じですね。

そうこうしている間に、NetflixやAmazonプライム、コンテンツをデジタル化して配信しているサービスが勝つ、という構図になっているようです。未だにTVはアナログ、Youtubeはデジタル、といった違いでしょうか。デジタル放送とは、何だったのか。

ライブ配信によって進んだ「デジタル化」は、まだまだ始まったばかりです。

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